有賀ゼミについて
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有賀ゼミ・近畿大学谷口ゼミ、合同ゼミナール記念撮影。2004年10月2日(土)東京工業大学すずかけホール3階
有賀ゼミ募集
「人工市場で学ぶ企業経済と社会シミュレーション」募集人員10名程度
授業計画
現代の社会・経済システムはコンピュータがサービスの過半を提供する時代に入りました。金融取引も自動取引の比率が高まり、株の取引にもコンピュータの果たす役割がますます重要になっています。
(1)株取引の仮想体験
当ゼミでは「株の先物取引」を行う人工市場U-martを利用して株取引を研究します。まず、U-martシミュレータを用いて、株売買で実際にいかに儲けるかを実体験することができます。一方、各自でプログラムを作成して自分の取引をコンピュータに代用させることもできます。こうして、ヒューマンだけでなくマシンプログラムでの自動取引も体験することができます。
(2)ネットワーク型取引を通じた複雑ネットワークの分析
株の先物取引には将棋や囲碁のような定石(テクニカル分析)があります。テクニカル分析を学ぶことでいっそう強いエージェントを制作することができます。しかし、エージェントの強さは他のエージェントの強さに依存していることに気づくでしょう。U-martシミュレータは、コンピュータネットワーク型市場シミュレータであることから、エージェント同士の複雑な相互依存的取引をカレントタイムに実現します。また先物取引のシミュレータでもあるので、限月の終了に合わせて勝負を賭けることもできるようになっています。
(3)社会シミュレーションへの途を開く
U-Martシステムでは、エージェントのタイプと数を変えることによって、シミュレーションを行い、その結果を比較する環境が準備されています。市場取引にかぎらず、現代では、シミュレーションによって結果を評価し政策立案することが重要になっています。当ゼミは、U-Martを通じて、社会シミュレーションの技法を学ぶことを目的としています。
U-martシステムとその特徴
(1)U-martシステムとは
U-martシステムは、政府科研費補助金などを原資として、純粋にNPOの立場から、U-mart研究会(http://www.u-mart.org/html/)が開発された「株価指数」を取り引きする仮想先物市場システムです。 開発は、京都大学、東京工業大学、大阪府立大学などの研究者が中心となって推進されています。一方、東京工業大学大学院などで正規のプログラム演習の課題として教育にも利用され、U-Mart専用の英文テキスト(Springer 2008)も出版され、国際的にもイベントなどで継続的に紹介されています。
(2)U-mart国内イベント
U-mart研究会では、経済学のロボカップ大会の全国的組織化を目指して毎年、参加者がヒューマン、マシンの双方の立場から売買益を競う大会を開催、当ゼミは2001年より毎年この大会に参加しています。
(3)U-martシステムと東京証券取引所
取引所の仕様は一通りではなく、歴史・場所によって異なります。わが国は証拠金先物取引が1730年に世界に先駆けて大阪堂島で開始された市場最先進国であるため、完全コンピュータ化された東京証券取引所で今なお伝統的に使われてきた取引用語が受け継がれています。東京証券取引所で取引の開始と終了時には「板寄せ」、その他の時間帯は「ザラバ」というように決済のメカニズムが異なります。U-martの取引は、東京証券取引所の仕様を忠実に再現しており、机上の空論ではなく実際に市場取引の本質を体験しかつ研究できるという利点があります。
テキスト
- 塩沢由典・中島義裕・松井啓之・小山友介・谷口和久・橋本文彦著「人工市場で学ぶマーケットメカニズム-U-Mart経済学編- 〔CD-ROM付〕」(知的エージェントで見る社会 3)共立出版、2006年
- 喜多一・ 森 直樹・小野 功・ 佐藤 浩・小山 友介・ 秋元圭人著「 人工市場で学ぶマーケットメカニズム ―U-Mart工学編― 〔CD-ROM付〕」 (知的エージェントで見る社会 4) 共立出版 2009年
- 教養番組 『知の回廊』ビデオ収録 第65回「人工市場で学ぶマーケットメカニズム」2009年1月放映